いよいよ来年の10月には消費税率の引き上げが迫っています。
「最近税金ばかり増えていくな・・・」と頭を悩ませる個人事業主の方も多いのではないでしょうか。
でも安心してください。
個人事業主の中には消費税を払わなくていい場合もあるのです。
一体それはどんなケースなのでしょうか?
今回は、個人事業主の消費税について解説していきます。
その名の通り、消費税は商品やサービスを「消費」したときに発生する税金です。
所得税などは、直接税と呼ばれ、税金を支払う人と納める人が同じですが、消費税は、間接税と呼ばれ、税金を支払った消費者が納めるのではなく、そのお金を一旦事業者が預かってから税金を納めています。
消費税は商品やサービスを消費したときに発生しますが、全部の取引について消費税が発生する訳ではありません。
税金のかかる「課税取引」の他にも、消費税の対象外である「不課税取引」「非課税取引」「免税取引」があります。
個人事業主が納めることになる消費税は、①顧客から預かった消費税=「課税売上」×消費税率 から、②仕入先等に支払った消費税=「課税仕入」×消費税率 の差額分になります。
簡単にいうと、受け取った消費税額と支払った消費税額の差額を納税することになります。
消費税を納める必要がないかどうかの基準は、原則として「基準期間」の課税売上が1000万円を超えているかどうかです。
基準期間とは2年前の会計期間(個人事業主は1月1日~12月31日)を指し、2年前(前々年)の課税売上高が1000万円を超える場合には、消費税を納税する義務がある「課税事業者」となります。
前々年の課税売上高が1000万円を下回っているときには、「免税事業者」となり、納税義務はありません。
従って開業から2年間は前々年の売上が1000万円を下回るため、免税事業者となり、納税義務はありません。
また1年前(前年)の上半期(個人事業主は1月1日~6月30日)は「特定期間」と呼ばれ、この期間に課税売上高または給与支払額が1000万円を超えた場合にも、その年から消費税を納めることになります。
いずれにしても開業から2年間は消費税を納める必要はありません。
課税事業者として納税することになった場合は、まず税務署に「消費税課税事業者届出書」を提出します。
届出書には「基準期間用」と「特定期間用」の二種類がありますのでご注意ください。
消費税は、売上として顧客から預かった消費税額から、経費として仕入先等に支払った消費税額との差額分を納税しますが、その納税金額は自分で計算します。
基本的な計算方法を説明します。
① 本則課税
本則課税とは、実際に預かった消費税額から、実際に支払った消費税額の差額を計算して納税するものです。
例えば、課税売上高3000万円(消費税240万円)、経費2000万円(消費税160万円)とすると、
計算式は 240万円―160万円=80万円 となり、80万円を納税します。
② 簡易課税
実際に支払った消費税額をひとつひとつ計算するのは、かなり手間のかかる作業です。
そこで、売上規模がそれほど大きくない事業所(5000万円以下)については、簡易な計算方法を認めています。
これを「簡易課税」と言います。
簡易課税とは、課税売上金額から、業種ごとにおよそかかる消費税額を求める方法で、課税売上額に、業種ごとに定められた「みなし仕入れ率」を掛けて、経費の税額計算を行います。
実際に適用するには「消費税簡易課税制度選択届出書」を税務署に提出します。
<みなし仕入れ率>
第一種事業(卸売業):90%
第二種事業(小売業):80%
第三種事業(農業・林業・漁業・鉱業・建設業・製造業等):70%
第四種事業(そのほか飲食業などの事業):60%
第五種事業(運輸通信業、金融保険業、飲食店以外のサービス業等):50%
第六種事業(不動産業):40%
例えば、課税売上高が3000万円・経費2000万円の小売業者の場合は
納税額は 240万円-192万円(240万円×80%)=48万円 となります。
課税の方法により簡易課税の方が、税額が少なくなる場合があります。
個人事業主の場合、確定申告の際に、その年の1月1日から12月31日までの間の、受け取った消費税の金額と、支払った消費税の金額の差額を計算します。
そして翌年の3月31日までに税金を納めます。
消費税の金額が48万円を越えると、翌年の納税に備えて、一部を中間納税する必要があります。
中間納税の時期は、納税額によって、年1・3・11回に分かれます。
48万円以下 中間申告不要
48万円~400万円 年1回の中間申告
400万円~4800万円 年3回の中間申告
4800万円超 年11回の中間申告
消費税についておさらいします。
下記に該当する人は、消費税の納税義務のある人=課税事業者
・2年前の課税売上高が1000万円を超えている
・1年前の特定期間に、課税売上高と給与等支払がどちらかが1000万円を超えている
・「消費税課税事業者届出書」を提出している
これ以外の個人事業主は、消費税の納税義務がない=免税事業者です。
開業から1年間は免税事業者で、2年目は特定期間の判定基準により納税義務の有無が異なりますが、少なくとも2年間は納税する必要がありません。
年間売上が毎年1000万円以下の個人事業主は、開業から何年経っていたとして、消費税を納税する必要はありません。
もし1000万円を超える場合は、個人から法人に組織を変更するのも一つの考えです。
法人についても開業から2年間は納税をする必要はありません。
また大きな設備投資をお考えであれば課税事業者になるのも方法です。
設備投資で支払った消費税が還付される場合があります(条件もありますのでご注意ください)。
みなさんも消費税について正しい知識を身につけて上手に対応していきましょう。
クラウドオフィスに発信致します。
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